図書館内のユースセンター(Oodi Youth Space フィンランド・ヘルシンキ市)

2023年11月14日

私たちの訪問:2023年9月6日
話をうかがった相手:ユースワーカーの Tiina Kuusisto さん
                                  
<以下の内容は、訪問時現在の内容です>

市立中央図書館Oodi

ヘルシンキ市の中心、ヘルシンキ中央駅から歩いてすぐの大きな広場の一角、国会議事堂と相対して、最近建て替えられた市立中央図書館、Helsinki Central Library Oodiがある。人口60万人のヘルシンキ市では37もの市立図書館をもっているが、その中心となる場だ。建物は一部を除いて木でつくられており、巨大な建物なのに威圧感がなく、開放的で自然なつくり。その印象は内部も変わらない。ここは本を読む・借りるだけの図書館ではなく、誰もに開かれ、多様な役割を担う生きたMeeting Spaceとされている。(website https://oodihelsinki.fi/en/より)

1人でゆっくり過ごせる場所や、人と気楽に話ができる場など、多彩なスペースがふんだんに設けられ、音楽、調理、工作など作業・活動ができるワークショップエリアもある。開架図書フロアも明るく開放的で、子どもも大人も本をもって1日楽しく過ごせる空間が広がっている。週末には多くの人で賑わう、街中の人気スポットになっているというのがよくわかる。

図書館ユースセンターができたわけ

そんなOodiの中2階に、小さなユースセンター(スペース)がある。
水曜~金曜の15時~21時、土曜・日曜の14時~20時にオープンしている。
ここにユースセンターができた背景には、以前から寄せられていた若者たちの声がある。街中には若者がたくさんくるが、集まる場所がない、街中にユースセンターが欲しいという声があったという。今回中央図書館を建て替えることになった際、ここなら街中でショッピングセンターにも近く、若者達も集まりやすいだろうと、つくられることになった。内部の設計は、設計士が子どもたちと相談しながら進めたという。
利用できる年齢は9~28歳だが、他のユースセンターと比して、利用者の年齢幅は広い。一日の利用者は70~100人ほど。折悪しくコロナ下の2020年秋オープンだったため、当初は利用制限があったが、2022年春に正式なオープニングセレモニーを行い、以降は多くを受け入れられるようになった。

図書館ならではの活動

ここは小さなスペースなので、運動は出来ないが、図書館内にある条件を活かしながら、文化的活動を重視している。Oodiには内部に映画館もあるため、協力して映画鑑賞企画を開催したり、図書館内のスペースを借りてディスコを開いたり。一般のユースセンターより利用者の声に応えられる面もある。図書館の職員が、ここでワークショップを開いてくれることもある。

Oodi Youth Spaceの日常

毎週水曜日には、スウェーデン語を母語とする若者向けのワークショップを開催している。
また、毎週木曜日と月1回土曜日には、スーパーマーケットと協力して、図書館内にあるキッチンで、廃棄に近い食材を使った無料の料理教室を開催している。センター内にキッチンが無いのが少し残念だが、図書館内には多様な空間がふんだんにある。
ここには友だちと一緒に宿題をしに来る利用者も多い。親と一緒に来て、子どもがユースセンターにいる間に、親は他のスペースにいるといった利用のされかたもある。

このスペースの一角には、「芸術の壁」と称するコーナーがある。ここでは28歳以下の若者の芸術家(資格は不要)の絵が飾られている。どの絵を飾るかについては、利用者が相談して決める。

Oodi図書館全体が、誰に対しても開かれた場所であるため、このユースセンターも気軽に利用できる雰囲気があり、移民の若者など色々な若者たちが訪ねてくる。

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